ティアラ2
「…………」
「いたっ」
アカネさんの華奢な手に、信じられないほどの力。

「……やっぱりバカにしてるわ! 陽子姉さんはニューハーフをバカにしてる!」
うわぁ、ドスのきいた苦い声……って、いまはそれどころじゃなく。

「いっ、いたたっ」
「バカにしてないわよ、ニューハーフのことは。アカネのことを小馬鹿にしてるだけ」
「いった……っ!」
「キィィィ! ほんっとやな女!」

怒るようなことを、わざと言う陽子さん。それにまんまとハマったアカネさんは、あたしの手を握ったまま怒りだして……。

「痛いっ!!」
アカネさんがニューハーフだってこともどうでもよくなるくらい、あたしは涙目で叫んだ。そのとき、スッと現れたのが……。
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