ティアラ2
「いいなぁ。あたしは背が低いし、全然可愛くないから……そういうの憧れる」

静かに話を聞いていた笹野さんが、しょんぼりした顔でつぶやく。

「なに言ってんだ、ミスTAMAKIが」

フォローするかのように、すぐさま返事をしたのは……篤紀。

「そうだよ、京香は俺らのアイドルだって」

「違う違う。俺たちだけじゃなく、京香目当ての客もいるんだから、TAMAKI全体のアイドルだよ」

篤紀に続いて、あたしに向いていた視線がすべて彼女へと移っていく。

え……なに、この空気。

「あれ、もしかして……髪の色かえた?」

横にいた篤紀が1歩、2歩と、彼女に近づいた。

「あ、うん。昨日、気分転換に」

さっきまでうつむき加減だった彼女は、もう満面の笑み。
< 36 / 527 >

この作品をシェア

pagetop