ティアラ2
あははと笑う4人のそばで、圭太さんはしっかりと、逢坂さんの隣で空いたお皿を片付けたり、新しい飲み物の注文している。

陽子さんと世間話をしながら、4人の話を聞いていたあたしは、圭太さんの動きに気づいた後、いただいた2枚の名刺に目を向けた。

……仕事なんだな。

透吾が家に来たときも「大変なことになったな」という実感はあったけれど、こんな名刺を手にしたら、改めて「あたし、本当にモデルになるんだな」と思った。

同じ席には出版社やデザイナーのひと。少し前までのあたしなら、関わることもなかったひとたちだ。

地元の新聞社やテレビ局のひとたちに取材されたこともあったけれど、そのときは食事なんてしなかったし、一瞬のことだからこんなふうに思うこともなかった。
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