ティアラ2
「でね、鏡で化粧された自分の顔を見つめてうっとりしてるんですよぅ! お仲間かなと思っちゃった!」

アカネさんは、透吾をからかうような口ぶり。慌てて「ちげーよ!」と言い返す彼を、吉永さんたちはゲラゲラ笑っていた。

「まぁ、そういう行動に出たのは、酔ってたってこともあるんですけど。ニューハーフのひとって女よりも女らしく、綺麗を追求してるじゃないっすか。……そんときのメイクも、酔ってる男を相手に真剣にやってたんですよ」

「あー、それで?」

「ええ。すぐに金を渡して、学校へ行かせました。迎えにくるまでに卒業しとけ、って言って」

「迎えにくるまで……?」

「ええ、その頃の俺はまだ駆け出しで。七光りで仕事をさせてもらってるときだったんで、そんときもすぐにオヤジんとこに戻ることになってたんですよ」

「あぁ、海外に?」

「ええ」
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