ティアラ2
「こんなこと……自信家の彼には絶対に言えないけれど。透吾がいまの地位までたどり着けたのは、やっぱりお父さんのお陰よ」

あたしの視線をたどって、陽子さんも透吾の横顔を見つめる。

「でもね、全部が親の力ってワケでもない。美和ちゃんもそのうちわかると思うけど、自信を持つだけの力はあるの。……面白いのよ、彼の写真」

ひじをつく陽子さんの瞳は、眩しいものを眺めるかのようで……。

「そして見る目もあるわ。わたしのことは別として、アカネはああ見えても腕はいい……これからもまだまだ成長するだろうし。圭太も、彼とおんなじ感性を持ってる」

陽子さんはゆっくりと、視線を彼らからあたしに移した。

「あなたのことも、きっと何かあると信じて選んだはずよ」
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