ティアラ2
「よし、完了」
「え……これで終わりなんですか?」

爪の長さと形を揃え、磨くだけの作業。
これからボッテリとマニキュアを塗られたりスカルプをつけられるのかな、と思っていたあたしは飾り気のない指先にがっかりする。

「うん。今回はこれで」
「そう……ですか」

何コレ、って感じだった。これくらいなら自分でもできるし、時間がかかるとか言いながら30分しかかけてないじゃない。

「じゃ、あたしはこれから別の仕事が入ってるから」
「あ……お疲れ様でした」

爪を眺めて口を尖らせていると、アカネさんはそそくさと片付けをして、ここを出ようとしている。椅子に腰かけたまま、その姿をジーッと見つめていたあたしは、ふとあることを思い出した。
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