ティアラ2
アカネさんはヘアメイクだけじゃなく、ネイルアートもしている。なら、あの車の中にあったのは……。
「透吾の車に乗ったことなんてないよ、一度も」
マニキュアのボトルの話をしたら、アカネさんはサラッと、自分のものではないと言い切った。
「それにあたしは、仕事道具をその辺に放ったらかしにするほど不真面目でもない」
まだ怪しんでいることがわかったのだろう。彼女はその言葉を付け足し、髪を結いでいたヘアゴムをスッと引っ張った。
フワッと肩に髪がかかる、と同時に香ったのは清潔感のあるいい匂い。
「そうですか」
じゃあ一体、あれは誰のもの?
「美和ちゃんは乗ってるんだ? いいなぁ~。透吾はあたしが“乗せて”って頼むたびに“俺の上に乗って、別の道を走らせるつもりだろ”とか言って逃げるんだよ。まぁ、あながち間違いではないんだけど」
アカネさんは独り言のようにそうつぶやいた後、フフッと笑いながらキラキラ光るピンク色のメイクボックスに手を伸ばす。
「透吾の車に乗ったことなんてないよ、一度も」
マニキュアのボトルの話をしたら、アカネさんはサラッと、自分のものではないと言い切った。
「それにあたしは、仕事道具をその辺に放ったらかしにするほど不真面目でもない」
まだ怪しんでいることがわかったのだろう。彼女はその言葉を付け足し、髪を結いでいたヘアゴムをスッと引っ張った。
フワッと肩に髪がかかる、と同時に香ったのは清潔感のあるいい匂い。
「そうですか」
じゃあ一体、あれは誰のもの?
「美和ちゃんは乗ってるんだ? いいなぁ~。透吾はあたしが“乗せて”って頼むたびに“俺の上に乗って、別の道を走らせるつもりだろ”とか言って逃げるんだよ。まぁ、あながち間違いではないんだけど」
アカネさんは独り言のようにそうつぶやいた後、フフッと笑いながらキラキラ光るピンク色のメイクボックスに手を伸ばす。