ティアラ2
……そして数時間後。

今日は仕事というよりもフロアの説明や、倉庫の案内をしてもらう感じだった。……アイドルとやらの話を聞くだけの1日。

「ミスTAMAKIってなに?」

帰り道、自転車を押す篤紀に、低い声で問いかけた。

「え、笹野だろ?」

「笹野だろ、じゃないわよ! なに当たり前のように答えてんのよ!」

ひょうひょうと返事をした篤紀にムカついて、大声を出した。ハンドルを握ったまま「うるせぇ」とのけぞる、彼。

「なによ、あの女。なんで、みんなしてアイドル呼ばわりなの?」

「しゃあねぇだろ。そういうポジションにいる子なんだから」

「は? そういうポジションって何? 意味わかんないし! あっ、もしかして篤紀ぃ……あんたまでアイドル扱いしてんじゃないでしょうね?」
< 38 / 527 >

この作品をシェア

pagetop