ティアラ2
近いのに、透吾はスピードをあげてくれた。前を走る車のナンバープレートをぼんやり眺めながら、緊張感に包まれるあたし。

篤紀んちから徒歩3分のコンビニまで送ってもらった。

「この間の誤解をとくのに、俺も行こうか?」
「ううん。大丈夫」

一緒にこようとした彼に首を振り、ひとりで向かう。連れていけば余計にややこしくなるかもしれないし、本音を言えばこれ以上、情けない姿を見せたくないって気持ちもある。

とぼとぼ、と歩く速度は老人並み。
着くまでの間、あたしは何度も深呼吸を繰り返した。
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