ティアラ2
門の外から庭を覗くと、黒い自転車が見えた。多分、篤紀はいま家にいる。
まだ心の準備ができていない。門の前で、あたしはインターホンをじっと見つめた。
ベルのマークがついたボタンに指を置くことはできても、強く押すまではできない。
「……はぁ」
どうしよう、とため息が出る。そのとき突然、ガチャと鍵を開けたような音が聞こえてきた。
「…………」
「あ……」
玄関のドアが開き、出てきたのは篤紀。彼はサッカーボールを片手に、いまから出かける様子だった。
「……何?」
一瞬、驚いているようにも見えたけど、篤紀はすっとあたしから目をそらし、ゆっくり近づいてくる。
「あ……あの、話が……」
そばまできてくれたと思ったのに、彼は門を開けるとそのまま、あたしを通り越していく。
まだ心の準備ができていない。門の前で、あたしはインターホンをじっと見つめた。
ベルのマークがついたボタンに指を置くことはできても、強く押すまではできない。
「……はぁ」
どうしよう、とため息が出る。そのとき突然、ガチャと鍵を開けたような音が聞こえてきた。
「…………」
「あ……」
玄関のドアが開き、出てきたのは篤紀。彼はサッカーボールを片手に、いまから出かける様子だった。
「……何?」
一瞬、驚いているようにも見えたけど、篤紀はすっとあたしから目をそらし、ゆっくり近づいてくる。
「あ……あの、話が……」
そばまできてくれたと思ったのに、彼は門を開けるとそのまま、あたしを通り越していく。