ティアラ2
次の日、あたしはお母さんがオーナーをしてるエステサロンを訪れていた。

施術室の中、ベッドの上に寝転がるあたしは、ヒアルロン酸のパックをつけられながら拳を作る。

……篤紀のバカ。

このあたしがあそこまで言うのは、他にも理由があるからよ。

「笹野、京香……」

あの女、みんなの前では自分を落とすような言い方をしてたけれど、やることはきちんとやってる女だと思う。

だいたいの女の子たちは、脱毛やスキンケアしかやらないけれど、あの女は違ったの。

指先や唇の手入れはちゃんとしていたし、持ち物にも淡い花の香りをつけていた。

昨日、説明を聞きながら、隅々までチェックしたけど、欠点なんてひとつも見つからなかったの。

童顔でクリッとした瞳、上品さを残しつつ……可愛さを前に出したメイク。

「負けないんだから」

ミスTAMAKIか何か知らないけれど、アイドルはひとりでいいのよ!!

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