ティアラ2
大きなベッドと小さなテーブルしか置いていない部屋。透吾は同じアップルティーを飲みながら、薄いカーテンを横に寄せ、窓の外を眺めている。

「あとでアカネが飯を作りにくるってさ」
「呼んだの?」
「ああ、陽子の飯のがうまいんだけどな。あいつは店があるから遅くなるだろうし、仕方なくアカネ」

多分まずいと思う。そう言って苦笑いを見せる透吾。あたしはマグカップに口をつけたまま、ふふっと笑みをこぼす。

息がかかり、マグカップの中の水面がラセンを描く。ほのかに甘い匂いが漂った。

「冷たくて美味しい」
どこで買ったんだろう。明日、陽子さんに店の名前をきいてみよう。

そう考えていたとき、透吾が小さな声で囁いてきた。
「撮影は明後日からでいいから。今日はゆっくり休んで、明日はみんなで、気分転換にどっかへ行くか」
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