ティアラ2
ついたため息が「わかった」の合図なんだろう。彼は「飯ができたら起こしにくるから」と言って、部屋を出て行こうとする。

寝ることを強制された、あたし。仕方なく、尻に敷いていた布団を持ち上げ、両足を中に入れていく。

「……なぁ」
透吾はドアを半分まで開けて、またあたしに目を向ける。
「ん?」
横になろうとしていたあたしは、枕にひじをついて「ん?」と首を傾げた。

「…………」
「……何よ?」
呼んだくせに何も言ってこない彼。
リビングからの明かりが、薄暗い部屋を細く照らす。
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