ティアラ2
「どう? もう消えてるでしょ?」
ずっと黙ってるから、目をつぶったまま聞いた。すると、あご先を掴んでいた手が、パッとはなれていく。

自然とまぶたが開いた。でも彼は……。
「合格」
もうあたしに背を向けている。

「……」
また機嫌が悪いのかな? いまの彼はじゃっかん声のトーンが低い。
ふうっとため息をついて、あたしは近くの椅子に腰掛けようと、体の向きを変えた。

「…………」
「…………」
振り返ると、いつの間にか言い争いをやめていた圭太くんたちと目が合った。彼らは顔を真っ赤にし、こちらをじっと見ている。

「なんですかっ、その目は!」
ニタニタ笑うアカネさんを見て、思わず顔がカーッと熱くなった。

「いや……キス、するのかと思って……」
圭太くんはなぜか照れていて、声も途切れ途切れになっている。

変な誤解をときたくて、慌てて「しません!」と言い返す。でも、ふたりはあたしと透吾を交互に眺め、にんまりと口元を緩めていた。
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