ティアラ2
すると彼はスッとカメラを下ろした。
「何が“大丈夫”だ? 死んだ魚みたいな目ぇしやがって」

眉間に寄ったしわ。その苛立ちは誰が見てもわかるほど、表情に出ている。

あたしは最後の言葉で、彼が何を言おうとしているのかがわかった。
「ごめん」
顔に出てたんだ。

慌てて笑顔を作る。目を大きく開いて、子供みたいに歯を見せた。けれど、その表情は彼の怒りを爆発させるきっかけになってしまったの。

「何、俺にそんな顔を撮らせる気?」
張り詰めた空気。透吾の表情はさっきよりもひどく、険しくなった。
「なめてんの?」
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