ティアラ2
ちゃんとやってるつもりだけど、これでも「ダメだ」なんて言われちゃうなら、もうどうすればいいのか、わかんない。

気がついたら服をギュッと掴んでた。シワになっちゃうから急いで手をはなしたけれど、またアイロンをかけなくちゃいけなくなったかもしれない。

「誰が笑えって言ったよ?」
目の前まで近づいてきた透吾が、頭上でポツリと囁いた。

「……え?」
「無理に笑ってる顔なんか撮ったって、意味ねぇんだよ」

あれ……、と思った。近くで見て、違うことに気がついた透吾の表情。

「なんで我慢してんの? 辛いなら辛い顔すればいいじゃん。ほんとは泣きたいんだろ? 出しちまえよ、ぜんぶ」

口調もきついし、顔つきも険しいから怒ってると思ってたけど……。
< 436 / 527 >

この作品をシェア

pagetop