ティアラ2
「……だ、撮ってよ」
離れていかないで。

「撮ってよ透吾っ」
透吾までそんな背中、見せないで。

「いやだっ……とりにしないで」
ちゃんとやるから。出すからぜんぶ、出すから……。

「撮ってよぉ……」
背を向けられて、一気に溢れ出した涙。

透吾の姿が篤紀とかぶって、胸が苦しくなった。

「……見て、透吾」
スタジオを出ようとした彼を、陽子さんが止めに入る。

「…………」
透吾はゆっくり、振り向いてくれた。
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