ティアラ2
たまには、こういうところに来るのもいいなぁ。

「透吾さん、さっき聞いたんですけど……今晩、この町で花火大会があるみたい」
「おい美和、花火行きたい?」

少し離れた場所で圭太くんと話していた透吾が、あたしに意見を求めてきた。

「……うん」

花火を観にいくなんて、中学のときに直子と行った1回だけだ。行ってみたい、と素直に思った。

うなずくと、透吾は「よし行くか」と微笑んで、向こうにいるアカネさんたちにも声をかけにいく。

「……」
彼の後ろ姿を見つめながら、あたしはこの前、陽子さんから聞いた話を思い出していた。
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