ティアラ2
彼も素直になったことが嬉しくて、あたしは満面の笑みでうなずいた。
「そうだよ、好きなあいだは。それにあたしは、テキトーな気持ちでつき合われるような女じゃないの」
冗談っぽく言ったら、透吾もいつもみたいに喉をならして、小さく笑った。


花火の日から数日たった。今日もあたしは、透吾のマンションに来ている。といっても、撮影はほとんど終わっていて、アカネさんと陽子さんはいない。

「これは?」
「あぁ、それはボツ。これはイキ」
「わかりました」
「あ、これ……もう少し明るくな」

奥の部屋で透吾と圭太くんが、撮った写真を見ている。パソコンの画面を眺めたり、紙にしたものを手にしたり……。

暇でただ遊びに来ただけのあたしは、冷たいアイスキャンディーを食べながら、ぼうっとその様子を眺めてる。
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