ティアラ2
すっぴんなのに、力強い目鼻。自分だってことはわかっているけれど、別人がそこにいるみたいだった。

「すごいね」とつぶやくあたしを見て、嬉しそうな顔をする透吾。彼は自慢げに片腕を曲げて、筋肉をぽんぽん触りながら「ここがいいんだよ」と返してくる。

1枚1枚、じっくりと写真を見る。

綿のようにふわふわした、真っ白いドレス。紙だから感触なんてわかるはずもないのに、思わず指で確認してしまった。

自分じゃ絶対に撮れない表情。「あたしってこんな顔もするんだ」と、ビックリするものも何枚かあった。中でもいちばん、驚いたのが……。

「これ……」
迫力ある泣き顔。溢れる涙も立体的で、見た瞬間、鳥肌が立った。
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