ティアラ2
「いいだろ、それ。……最初はさ、写真集の表紙は真っ白にして、タイトルと俺の名前だけにするつもりだったんだ。でも、逢坂さんも気に入ってくれてるし……それを表紙にして出そうと思ってる」

あたしの手からファイルを取り、眩しそうな目をする彼。

すっぴんの泣き顔を表紙に、という考えに戸惑い、「これを?」と聞くあたし。透吾はにんまり微笑んで「不満?」と訊ねてくる。

わかってるんだ、あたしがこの写真を気に入ってることを。

「……ううん、ありがとう」
素直にお礼を言った。

篤紀が好きだと叫び、子供みたいに大声で泣いたときの表情。こんなに綺麗に撮ってもらえるなんて……。
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