ティアラ2

ガラスの靴

チッチッチッ、と時計の秒針が鳴る。

「………………」
長い沈黙が続く中、あたしは必死にこの状況を読みとろうとしていた。

笹野京香が、透吾と付き合っていた女性。あたしから篤紀を奪ったあの女が……。

これは偶然なの? いや、こんな偶然あるわけない。

TAMAKIで働いていたのも……って、それは偶然か。彼女のほうが先に働いていたわけだし。

いつから? どこから? ……だめだ、頭が混乱してる。あたしから篤紀を奪ったのは透吾のことが原因なのかもしれない、って考えているけれど、確信はまだ持てない。

記憶を辿って必死に思い出す、彼女の言動を。本当に篤紀が好きなのか、本当はモデルになったあたしへの……。
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