ティアラ2
ギョッとした顔をする透吾。フンッと顔を背けるあたしは、前を見て「あ……」と声を漏らす。

そこにいたのは竹下くん。こっちに気づいた彼は、目を丸くして「おー」とつぶやいている。

何が「おー」だ、この野郎。コソコソと陰でばかにしてたくせに……。

「篤紀と笹野京香はどこ?」
ズカズカと詰め寄ったあたしは、竹下くんの胸ぐらを掴んで低い声で訊ねる。

こんなやつらに、もう可愛い子ぶったりなんてしない。

鋭い目つきで脅すような態度だから、竹下くんも焦ったのだろう。なんの抵抗もなく、「きゅ、休憩してる」とどもりながら答えてくれた。
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