ティアラ2
「おい、ここって一般は入っちゃ……」
「元従業員だからいいの!」

従業員専用の通路を早歩き。後をついてくる彼は、誰かに見つからないかと身辺を気にしている。

「…………」
へぇ、仲良く休憩ですか。

ふたりがいい感じになっていることは知っていたけれど、いまからその場を目の当たりにするんだと思ったら、少し怖い。……見たら胸が痛くなる気がして。

「なぁ、もう出ようぜ」
「シッ!」
戻りたがる透吾を黙らせ、あたしは休憩室のドアにへばりついた。

ここまで来て、帰るわけないじゃない。

声をひそめ耳をすませると、中から聞こえてきたのは笹野京香の明るい声。
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