ティアラ2
やっぱり、このふたりはそんな関係にまでなってるんだ。

……突きつけられた現実。「そうだ、篤紀はもうあたしの彼氏じゃないんだっけ」なんて今さらなことを考えた。

どうしよう。何も聞かずに帰ったほうが傷つかずにすむかもしれない。でも、なんて答えるのか気になっている自分もいる。

そわそわして、じっとしていられない。胸が苦しくて、息もしにくい。

透吾だって不安なはず。大好きな彼女が、他の男と付き合おうとしているのだから。なのに、彼は……。

「…………」
重ねられた手を見下ろした。

ドアに手をついて向こうの話を聞く透吾は、あたしの震えた手をぎゅっと握ってくれている。
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