ティアラ2
モデルになりたいってだけで、透吾と付き合ってたんじゃないか。そんなふうに考えたりもしたけれど、どうやらその線はなさそう。

「アッキーのこと、本当に好きだよ」
落ち着きを取り戻した彼女は、ひとつせき払いをして、冷静な口調で話しだす。
「ずっと前から想ってたの」

ドアにもたれる透吾は、繰り返される告白を聞きながら、ゆっくりと目を閉じた。眉間に寄った、微かなしわ。それを見つめながら、あたしは篤紀の返事を待っていた。

なんて答えるの? いまの……彼女の言葉、どんなふうに思ったの?

シーンとした空気にドキドキしながら思い出したのは、彼があたしに言った最後の言葉。
“ああ、終われるよ”

手にかいた汗。あたしはゴクリとつばを飲んで、枯れた喉を潤わせた。そのとき……。

「……ごめん」
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