ティアラ2
「ねぇアッキー、もう忘れなよ。あんな子供っぽいひと、一緒にいたって……しんどいだけじゃない」

沈黙に痺れをきらしたのか、笹野京香は返事を待たずに話しだす。

「いちいち感情的になって、怒鳴ったり……暴れたり。アッキーも言ってたじゃない、もう疲れたって」

そう、篤紀は言ってた。
別れるときに「疲れた」と。

ふられた日のことを思い出した。

笹野京香の言葉にはイラッとしたけれど、否定できない自分もいて、あたしは静かにため息をついた。

もうダメなんだろうな。この先、あたしたちがよりを戻すことはないのだろう。

「まだ好き」だと言えた花火の日、諦めない透吾の姿を見て「あたしも頑張ろう」と決めていた。でも、いまは「もう無理だな」って思い始めてる。
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