ティアラ2
案の定、篤樹はこう言った。
「うん。確かに疲れる」

やっぱり、と肩を落とす。
「ごめん、今日はもう帰りたい」
透吾に、小さな声でそう言った。

……もう聞きたくなかった。
聞いていられなかったの。

話し合いをしにここまで来たっていうのに、逃げて帰るなんて……本当に格好悪い。でも、胸が苦しくて耐えられない。

ドアから離れて、来た道を戻り始める。でも、そのとき突然、透吾が腕を掴んできた。

あたしをグイッと引き寄せ、中の話をまた聞かせようとする彼。「もういいって」と断る、あたし。だけど、透吾はあたしの頭を無理やりドアに押し付けた。
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