ティアラ2
「でもっ……」

「ごめん笹野、アイツのこと……悪く言わないで。……同じように考えてたとしても、他のやつの口から聞くと……ムカつくから」

口を挟んだ彼女に、はっきりと自分の気持ちを伝える彼。

「…………」
なんでそんなふうに言ってくれるのだろう、と頭の中が混乱した。

それは過去に抱いた気持ちを言っただけで、いまはもう、そんなふうには見ていない。……そうだったとしても、嬉しかった。

「……篤紀」
愛されていたことがすごくわかって、嬉しいの。

ドアの向こうに彼はいる。あたしはゆっくり目を閉じて、小声で、噛みしめるように名前を呼んだ。
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