ティアラ2
止めに入る直子も無視して、小競り合いを続けるあたしと太一。そのそばで、篤紀は……。

「ダメだ、わかんねぇ」
地図をパタンと閉じて、ため息をついている。

数分後……。

「じゃあ、ちょっと聞いてくるね」
「はーい。いってらっしゃーい」

1軒のガソリンスタンドに寄った、あたしたち。太一と直子は車をおりて、中にいる店員さんに道を訊ねに行く。

「あー……」
両腕を伸ばす篤紀。

直子たちに手をふっていたあたしは、持っていた帽子で彼の顔をパタパタ仰いだ。

「それにしても、女って怖ぇよな」

突然、篤紀は思い出したかのように話し出す。「何が?」と首を傾げたら彼は「んー?」とつぶやいて、あたしの手から帽子を奪った。
< 513 / 527 >

この作品をシェア

pagetop