ティアラ2
「あ……この曲、覚えてる?」

「……うん」

「ほんとに? あたしたちに似てるって言ってたやつだよ?」

「覚えてるよ」

カーステから流れる音楽。

近づく顔にドキドキして、あたしはわざとラジオに集中した。

だけど篤紀は、そんなのお構いなしで……。緊張するあたしは、帽子を持つ手に力を入れた。

……そっと目を閉じる。


「そういうのは宿でやってやぁ」

「先輩……あたしたちの存在、忘れてません?」

「あたし、兄のそういうシーン……見たくないんですけど」
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