ティアラ2
「なんで忘れてんだよ……んと信じらんねぇ」

「ごめんごめん。ちょっと忙しくてさ」

エステへ行ったり、透吾が現れたりしたから、すっかり忘れてた。

「大丈夫?」と心配したら、篤紀は不機嫌な口調で「骨には異常ないけど」と返してくる。

「やり過ぎちゃったね」

機嫌をなおしてもらいたくて、両手を合わせると、篤紀は肩を落とし、仕方ないというかのような態度をとる。

「まぁ、いまに始まったことじゃないしな」

「まぁまぁ。許して?」

そう、あたしたちにとってこういうのは、日常茶飯事。

あたしと篤紀は同じ小学校へ通っていたけど、あることがきっかけで犬猿の仲になった。

そして、中学に上がる頃、篤紀は家庭の事情で引っ越し、あたしたちは別々の学校だったんだけど。

高校生になってまた再会し、そこからあたしは彼へ復讐するかのように、いろんな罠を仕掛けてきた。
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