ティアラ2
出たな、ミスTAMAKI……。

自然と手に力が入った。

「こんにちは、笹野さん」

「あ、おはよう百瀬さん」

彼女は篤紀だけを見ていて、声をかけるとついでのように振り向く。

「大丈夫?」

手にしていた救急箱をテーブルに置いて、篤紀の足を心配し始める彼女。

……イラッとした。

「あぁ、別にそこまでしなくても……」

「ダメだよ。立ち仕事なんだから、絶対に痛んでくるし」

ちょっと……篤紀くん?

なんで、この女が足のけがを知ってるの?

「ちょっとヒンヤリすると思うけど」

「あ……ありがとう」

彼女であるあたしの前で堂々と、彼女は篤紀の足に湿布を貼っていく。
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