ティアラ2
……なによ、あたしはこの女にカウンターをやれって言われたから、暇だけどずっとここにいたのよ!?

そんな言い方、ひどい。

グッと手に力を込め、篤紀の横顔を睨む。

すると、笹野京香は遠慮がちにうなずき、彼に向けていた視線をあたしに移した。

「じゃあ、やって……もらえるかな?」

おびえるような表情。彼女は途切れ途切れにそう訊ねてきた。

え、なに……その上目遣いは。

あたし、一度でも嫌な顔した?

あんた、さっきまで「これしてね」とか「こうやるんだよ」って……先輩面してたじゃない。

なんで急に、そんな目であたしを見るわけっ!?
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