ティアラ2
返す言葉が見つからなくて、あたしは黙っていた。

すると、彼女は頬から手を離し、同じようにしゃがんでくる。

「これまでのあんたは、自分を磨くことで相手を見返してきたでしょ? あたしはあんたのそういうとこ、大好きなんだよ」

直子はうつむくあたしの顔を覗き込み、説得するような口ぶりで話しだす。

「深町との対決では、子供みたいな嫌がらせばかりだし、真っ正面からぶつかってたから、目をつぶってた。

……でも美和、ワラ人形は人の不幸を願う物よ。こんなのを嬉しそうに作るのを見て、黙っているわけにはいかない」

彼女は奪ったワラをギュッと握りしめていて……。

「……ごめんなさい」

こう言うしかなかった。
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