ティアラ2
静かになるあたしたちの沈黙を破るかのように、愛犬のモカが向こうから走ってきた。

直子は膝に絡みつくモカを抱き上げ、「ぜんぶ話して」と囁いてくる。

数秒後、あたしは軍手を外しながら、口を開く。話したのは、TAMAKIで感じた数々の苛立ち。

「……なるほど」

すべて聞いた直子は、モカの頭を撫でながら、ふうっとため息をつく。

「みんな、あの女をチヤホヤするの。……篤紀もあの子には優しいし」

口にすると、ただのひがみになってしまう。そう思ったから、今までは詳しく話さなかった。

「でもあの女、篤紀や男の子たちの前では可愛い子ぶってるけど、あたしには偉そうなの」
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