ティアラ2
「あ、美和先輩」

ドスンドスン音を立てて階段をおりていると、一階にいた弥生ちゃんに声をかけられた。

「お邪魔しました」

「え……もう帰るんですか?」

見送らない兄をおかしく思っているのだろう。彼女は2階と玄関に向かうあたしを交互に見ながら、後をついてくる。


「また喧嘩……ですか?」

門を出るとき、弥生ちゃんは苦笑いで訊ねてきた。ぎこちなく笑いながら、うなずくあたし。

彼女は「早く仲直り、してくださいね」と微笑んで、ゆっくりドアを閉めた。

「……」

いちばん心配されたくない相手なのに。なんか……悔しい。
< 8 / 527 >

この作品をシェア

pagetop