ティアラ2
情けないけれど、声に出したら少し楽になった。

ひがむあたしが面白いのか、直子は突然、クスクス笑いだす。

「なによ」と頬を膨らますと、直子は穏やかな口調で「あんたもずっとチヤホヤされてたじゃない」と言った。

その言葉で、あたしは楽しかった高校生活を思い出す。

「アイドル」と呼ばれ続けた、3年間。周りにはいつも人がいて、男の子だけじゃなく女の子にも人気があった。

「その子は美和よりマシじゃない。あんたはあたしや太一にしか、本性を見せなかったでしょ」

直子は痛いところをついてくる。

たしかに、あたしは周りに本当の自分を見せていなかった。いつもニコニコして、清楚で完璧な女の子を演じてたの。
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