ティアラ2
やばい、急に……篤紀が愛しくなった。

何なんだろ、なんかこう……好きなんだよって伝えたくなる。

「遊ぼうよ」

服を掴む手に、じんわりと汗が湧いた。

これから仕事だってときに、いきなり「遊ぼう」なんて言われたものだから、彼は「は?」って思ったのだろう。

きょとんとして、眉間に薄くシワが入った。

「今からじゃなくて、近々……」

バイトをするようになって、ほぼ毎日のように顔を合わせている。

前よりも会う日が増えた。でも、なんか……前のほうが近かった気がするの。

「遊ぶっていつ? シフト、俺たち休みが違うだろ」

せっかく誘ったのに、現実的な問題で返される。

「たしかに」と思ったあたしは、彼の腕をはなし、うんうんと頷きながらまた歩き出す。
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