ティアラ2
「あ、起きた」

「なんだつまんね」

目が乾いてまばたきばかりするあたしを見て、子供たちは面白くなさげに、口を尖らせている。

木の棒? もしかして、頬っぺたが痛かったのは……。

「なにすんのよ、あんたたち」

まさか、あたしのこの美しい顔を、それでつついたんじゃ。

慌てて、頬に手を当てた。

「鏡、鏡っ」

傷がついてたら、こいつら……そこの砂場に埋めてやる。

「あ、帰ってきた!」

カバンの中から化粧ポーチを出したとき、ひとりの男の子が向こうを見て叫んだ。

顔を上げる。歩いてくるのは、1本のペットボトルを手にした篤紀。
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