ティアラ2
「そっか。……なんかごめんね」

きっとあたしが倒れたことで、サッカーも中断になったのだろう。そう考えると、申し訳なく思った。

すると篤紀は「いや」とつぶやいて、あたしの手からペットボトルを奪う。

「俺のほうこそ悪かったな。……見学なんてつまんないことさせた上に、こんな目にあわせて」

そう言ってひと口、スポーツドリンクを飲んだ。

……つまんなかったのかな? あたし。

全然、そんなふうに感じなかったよ。

「付き合う前は……ほら、あたしがあんたに仕返ししてた頃」

ふと思い出したんだ。

「あのときは、確かにつまらなく思ってたよ。……なんでいま、こんなもの見てるんだろうって」

子供に優しく、爽やかに笑う姿も、ぜんぶ嘘に見えてた。
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