ティアラ2
「でも、いまはそんなふうに思わないよ。……見てるだけでも幸せな気分」

ボールばっか追いかけて、子供にしか笑いかけていなくても……。

その横顔を見れるだけで、胸がきゅっとなる。いいなぁ、ってあたたかい気持ちになれるの。

ほんと不思議。あの頃は、こんな関係になるなんて考えもしなかったのに。

「ふふっ」

なんだかおかしくなった。気持ちってここまで変化するものなんだぁ、と。


「……」

「ん?」

笑ってるあたしをじっと見つめる、篤紀。首を傾げると、彼も柔らかく微笑んだ。

「なに?」

ちょっとドキドキした。あまりにもその笑顔が優しいから。
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