あいをください
一章
「ねぇ聞いてます?」

「聞いてる聞いてる!」

「絶対嘘やー!じゃ仮面とってよ!」

「なんでそうなるねん!」

「だって表情見れへんもんーどんな顔して聞いてくれてるんか見たいやん。」

「見なくていいですー。美少年すぎて惚れてまうぞ!!」

「ほな尚更とれ〜!!」

そう言いながら直登の顔に手を伸ばした。

「きゃ〜セクハラ〜!!」

同じ位置にあったはずの顔が一気に上へとあがる。

ずるい。

そうされると私が届かなくなるの分かってるくせに。
悔しくてぴょんぴょん飛び跳ねてみるも、頭を押さえつけられまったく無意味。

「めっちゃむかつくわぁぁ!!!!」

そんな私を見て体を反らしながらゲラゲラ笑う直登。
いや、正確には笑い声がする直登か。
本当に笑っているのか定かでない。
だって無表情で真っ白なただの仮面なんだもん。
私は彼の顔を知らない。
年も血液型も。
知っているのは彼の名前は直登って事だけ。
これも本当なのか分からないけど。
いつからだろう?
直登とこうして関わりをもつ様になったのは。
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