full moon
「終わらせたいんならそれなりの金払ってもらうからね。」


大きな声でそう言うと女の人は目の前のガラスのテーブルに煙草を強く押し付けて部屋を出て行ってしまった。





あれだけの言葉が飛び交っていたのに、私は一言も話せずただ女の人の姿を見ていただけだった。





女の人は左利きだったようだ。




左手で煙草を持っていたから自然と目に入ってきた。





煙の中で光るシンプルな指輪。





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