彼女ノ写真
「シキの事が~───何よ?ねぇ、何なのよ!」



「何でもないですよ。先輩が気にする様な事じゃないですよ」



「気にはしないけど、聞きたいのよ。何かさ~若い匂いがしたのよ」



「何ですか、それは?大体、先輩と僕は一つしか違わないじゃないですか!」



「あれ?知らなかったの~?私は、もうすぐ耳順よ?」



「論語ですか。って言うか、嘘ですよね。先輩は、いくつになっても耳順になんかならないと思いますよ、僕は」



「まー、、、そうね。それは、あんたが正しいわ」




素直な先輩の姿と、先程の話をスルー出来た事に僕は、嬉しくなっていた。




「でさ~少年。言葉は、記憶に勝てないわよ。行動にも勝てない。大事にし過ぎるのも考え物だと思うけど。

あれよ、言葉だって道具な訳じゃない?その道具に支配されるのは、愚かなことだわ」




甘い考えだった。しっかり、拾ってきた。───でも、やっぱりこの人は、本当に尊敬出来る人だ。的確に、僕の心の内側を言い当てた。




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