彼女ノ写真
「でも、サイオンジ先輩がそう言うんだから、それでいいんじゃないですか?あの人は、ちゃんと自分の事も考えてますよ」




そう、僕が簡単な微笑みを浮かべ、先輩に視線を向けてると、それを迎え撃つように右端の口角を上に吊り上げ、凄く個人的な納得を得るように、頷いた。




「そうね。あの子は、あれでしっかりしてるからね~」



「何処行くんですか?やっぱり、美大ですか?」



「他に何があるのよ?目的もなく大学まで行くなんて、バカ過ぎない?」



「い、、、や、まぁ、人それぞれなんじゃないかと、、、」



「そうかな~?私、高校だって行く必要ないかと思ってたけどね~サイオンジが行こうって、あまりにも真剣に言うからさ、家から一番近いこの学校に来た訳だけど───ま、ここに来た事は良かったわ。本当に」




そう言うと、先輩は笑った。その視線の先には、お遣いから戻ってきたサイオンジ先輩の姿があり、自分を無理矢理にでも導いてくれたサイオンジ先輩への無言のありがとうを言っているようにも見えた。





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