彼女ノ写真
───君が足りない───




シキちゃんが、慌てて飛び出すのも分かる気がした。




エークンにしか贈る事が出来ない、優しすぎるメッセージだ。




そのメッセージに対する私達の反応は、三者三様で、マキ先輩は背中を掻きながら、わっけ~!!と絶叫し、サイオンジ先輩は乙女モードに突入、ホオを紅く染め、夢心地のご様子だった。




私はと言うと、自然と微笑んでいた。




いろいろ思いが込み上げる。そして総じて、ただただ嬉しかった。




彼女の心に、ストレートにダイレクトに届いただろうその言葉が、色鮮やかな花束の様に見えた。




私が思った、シキちゃんが足りないと言う感覚よりも、きっともっとずっと、足りないのだろう。




これだけの枚数の写真たちは、シキちゃんがいない事で、永遠に未完成のままなのだ。




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