彼女ノ写真

10－AAAAA

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息を切らしたシキちゃんの姿が目に飛び込む。




その姿はとてもレアで、普段の僕なら、それこそ飛び上がって喜ぶかもしれないけど、今はそんな状況じゃない事はよく分かっている。




それはそうだ。自分でこの状況を作ったのだから。




とりあえず、不安を拭う様に、シキちゃんの目を見て確認する。




───怒ってはいない、、、と思う。




シキちゃんの一歩また一歩と近付いてくるたびに、僕の心音は一つまた一つと、速度を上げていく。




気付かない内に、僕は腰を下ろしていたコンクリートの階段から立ち上がり、さながら、舞踏会へ親の強引な誘いで参加させられた挙句、どうにも生理的に苦手な男からしつこいアピールを受け、ものすごく嫌なのだが、親の手前、ぴしゃりとあしらう訳にも行かず、面倒だし、本当に嫌だったけど、仕方なく男とワルツの一つでも踊って来たあとのお嬢様をお出迎えする召使いの様な気分になっていた。




もちろん、これは全て僕の妄想だ。




シキちゃんは、自分が嫌なら、親の強引な誘いにだって、首を縦には振らない子だからだ。