彼女ノ写真
「あの写真って、、、どっちのあの写真?」




その質問に少し、シキちゃんらしい目の強さが蘇えった。




「バカ!君が、無くしたあの写真よ!あなたが私の事を、一番最初に笑わせてくれた場所。写真に収めた場所。私とあなたが、一番最初に言葉を交わした場所。そして────」



「そう。僕が君に、告白をした場所だ」




そう言って、少しいい気になって、シキちゃんに微笑みかけてみた。




「バカ」




案の定、照れくさそうにうつむいた彼女の姿と、言葉と中身が伴わない見事なまでのバカを貰った。




僕たちが出会ったのは、まだ高校生になった実感が持てなかった五月初旬の頃だ。




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