彼女ノ写真
───ねぇ、君───確か、彼女に向けての最初言葉は、そんな風だったと思う。




彼女は、そんな僕の言葉に気が付いて、動かしていたペンを止め、僕の方を向き、───なニ───と、不思議な言葉を残し、少し慌てたように再びスケッチを再開した。




嫌われた!それが僕の第一印象。




でも僕は、そんな事で自分の彼女を撮りたいと言う欲望を仕舞いこむ事は出来ず、もう二、三歩近付いて、彼女に話しかける。




───あの、ごめん。ビックリさせちゃったよね?と言うか、君、一年生?もし先輩だったら、失礼しました。───




すると彼女は、無言のまま羽織っていたジャージのラインを、指でつまんで見せる。




───あ、そっか。学年によって、ラインの色が違うんだっけ?一年生だね。えーと、あの~、、、何を描いてるの?───




今度は無言のまま、手に持ったペンで目の前に植えられた三本の木を指し示した。





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